California Zephyr <Part 1>

 パート1では、サンフランシスコ(厳密にはダウンタウンからバスで20分ほどのエマリービル駅)からカリフォルニアの州都サクラメント、シエラネバタを越えながら世界一小さな街レノ、ソルトレイクの大平原を通過してさらにロッキー山脈を越えてデンバーに至るルートを紹介いたします。アムトラックでも人気のあるこの区間ですが、赤字区間と言うことで廃止もしくは減便の方向にあるようです。

 

 

  カリフォルニアゼファーの入線


  定刻より三十分ほど遅れてエマリービル駅へ入線、手早く搭乗を済ませて発車しました。デンバーまでは客車や冷蔵車など併せて10両前後の編成に対し、ジェネシス機関車の三重連、これだけでも一万馬力あまりの出力をもつ堂々たる陣容です。

 

  サクラメント近郊の橋


  1930年にこの橋が完成するまでは、フェリーで一両づつ客車を航送していたとか・・・。隣には鉄道強よりもずっと立派な道路橋がかかっているあたり、アメリカの鉄道事情を伺わせます。

 

  サクラメント近郊のヤード


  こちらもサクラメント近郊の様子。手前には有蓋車や自動車運搬貨車が見えます。アメリカの貨車は日本から見ると信じられないくらい錆だらけで痛んでしまっていてもそれほど気にしないで使っているようです。

 

  カリフォルニアの穀倉地帯


  しばらくはカリフォルニアの穀倉地帯を快走します。このあたりで最初の昼食です。どこまでも広がる畑と青い空が、いかにもカリフォルニアらしい風景です。

 

  シエラネバダへ


  列車は徐々に高度を上げ、最初の難所であるシエラネバダ山脈を徐々に上っていきます。このあたりは針葉樹と乾燥した土が広がる地域です。雰囲気としては、日本の函館本線の風景に似てなくもないですが、やはり見渡す限りの自然というのは気持ちがいいものです。

 

  山間の小さな駅


  人影もまばらな(というか居ない・・・)山あいの駅。駐車場にピックアップトラックを見れるところが、いかにもアメリカンカントリーな風情。ちなみにこの駅はちょっとした保線基地になっているようで、保線車両もたくさん見かけました。こういった山間部の場合、案外トラックによる保線も難しいようで、日本では絶滅種の操重車も見かけることが出来ました。

 

  ぎりぎりまで迫る岩肌


  岩肌が限界まで迫った線路際の様子。無数に張り巡らされた電線は、おそらくは落石検知用のものでしょう。こういった場所を分けて進んでいくのもカリフォルニアゼファーならでは。ちなみにシカゴから西に進む鉄道建設に当たっては、中国系移民の驚異的な労働の功績、現在でもカリフォルニアゼファーの車内では、伝説の一つとして紹介されています。

 

  シエラネバタ越えも一段落したあたり


  このあたりになると、さすがの三重連ジェネシスも息も絶え絶えとなります。もっとも線形が悪いのも一因かもしれません。見渡す限り、針葉樹の森が乗客を楽しませます。このあたりの高度は2000メートル前後もあります。

 

  線形は決して良くありません・・・


  巨大なジェネシスとスーパーライナーの編成は、右へ左へと身体をくねらせながら山を越えてゆきます。スーパーライナーもしばしば台車をきしませながら進んでおります。ただし線路自体の保線状況は良好で、この路線がアメリカ大陸を横断する、重要な物流ルートの一つであることを伺わせます。

 

  荒削りのトンネル


  こういったトンネル、安全なのかはとりあえずおいておいて、車窓を楽しませてくれるユニークな景色の一つです。切り通しにしていないところを見ると、あるいは最近、地形が変わったのかもしれませんね。シエラネバタ山脈も、かつてはパイオニア達最後の難関として、サンフランシスコまでの行く手を阻んでいました。

 

  自然豊かな風景


 シエラネバタ越えの途中には、こういった湖を望む景色もあります。シエラネバタ山脈には、リゾート地として有名な、また透明度が世界有数の大きなタホ湖など多くの湖があります。

 

  自然そのままの川


  日本ではなかなか見ることが無くなってしまった、自然そのままの川の景色です。こういった大自然に容易に、身近にアクセスできるのも、列車の旅ならではといえるでしょう。

 

  一日目の夕暮れ


  一日目の夕暮れは、シエラネバタ越えも一段落した、ユタ州ソルトレイクへ向かう道中で迎えました。広く広がった大地と、遠くに広がる山並みに太陽が吸い込まれていくのを見ながらのダイナーでの夕食はまた格別なものです。

 

  二日目の朝


  列車はロッキー山脈に挑んでいます。この段階では列車は約4時間ほどの遅れを出していました。山越えのため、うねうねと山のすそ野を這う線路を、ゼファー号は進んでいきます。

 

  独特の山並み


  かつての平原が、長い時間をかけて浸食された山並みは独特のものです。いまでこそ快適なスーパーライナーによるゼファーで横断することが出来ますが、かつてのパイオニアたちはここを馬車で越えたのですから恐れ入ったものです。

 

  ルビーキャニオンに入る列車


  列車はロッキー山脈最初の大峡谷、ルビーキャニオンに進入します。こちらも浸食された地形が独特の山並みを形作っております。カリフォルニア独特の赤い土の色もおわかり頂けますでしょうか?このあとにはコロラド川に沿って、パラセイド地方と呼ばれる肥沃な地帯が続き、列車もそれに従って進みます。

 

  途中駅での休憩


  こちらは小さな駅での小休止の様子。こちらでは機関車の給油なども行われたようで、列車は30分ほどの小休止。さてそうなると太陽と空気を楽しみに乗客はホームへ・・・。こちらでは果物や古本の即売も行われており、思い思いに楽しんでおります。こういったのんびりしたリフレッシュメントも、大陸横断鉄道の楽しみの一つです。

 

  ラウンジカーの風景


  列車は6時間ほどの遅れ・・・。しかし慌てたところでどうしようもありませんので、のんびり景色を楽しみましょう。ラウンジカーは大きな窓を備えた車輌で、列車の中央に食堂車と隣り合って連結されています。移りゆく車窓と太陽の光の元、乗客は小説を読んだり、写真を撮ったり、昼寝してみたりと思い思いに優雅な時間を過ごしております。

 

  温泉街、グレンウッドスプリング


  北米でも有数の大きな温泉、グレンウッドスプリングです。温泉といってももちろん水着を着てはいるわけですから、どちらかというと温泉入り温水プールといった趣でしょうか。このあたりはちょっとしたリゾート地にもなっており、夏はラフトやカヌーに乗っての川下りを楽しむ人々の姿も多く見られました。冬季にはスキーヤーでにぎわうところでもあるそうです。

 

  峡谷を進む列車とハイウェイ


  右中央に写る機関車のサイズを見て頂けると、峡谷の雄大さがまた感じて頂けるでしょう。まさに自然の中にレールと道路が間借りしているといった風景ではないでしょうか。川がずいぶん濁っていますが、これは数日前に上流にて大雨があったとのことで、普段はもうすこし穏やかなようです。このあたりはグレンウドキャニオンと呼ばれ、コロラド沿いでも有数の峡谷、断崖の高さは400メートルを超える場所もあるそうです。