都営フェスタ2006の模様

 都営馬込検車区では、今年も恒例の都営フェスタが開催されました。今回は初めて、馬込検車区受け持ちとなった大江戸線車輌の展示や回送に使用する電気機関車も展示され、例年に増して大勢の観客が詰め掛けました。

お馴染みの浅草線のキャストです。

今年の目玉は大江戸線12−000系の展示です。

リニアモーター駆動ですが、妙に小さい以外、外観は至って普通。

小型化の為か、積層ゴムの軸バネを採用しています。

 馬込基地、改修後は近代的な設備を誇る基地になりました。

冷暖房完備の車輌工場内、明るく清潔な雰囲気です。

修繕時に使う、仮台車。鋼鈑組みのシンプルなつくり。

台車移動に使用する、軌道アダプタつきのフォーク。

 手前二つは浅草線の、一般的なパンタ。奥には大江戸線専用のも。

大江戸線用の超小型パンタグラフ。離線対策なのか、擦り板が二重。

構内の車輌移動に使用する移動機。連結器が2つ付いています。

床下と屋根上の点検を行う区画、こちらも設備充実です。

世界でも珍しい、地下鉄用電気機関車。車輌回送に使用します。

二種類の架線高さと車体限界に対応の、かなり珍妙なデザイン。

台車は電動機を入れる都合で、普通の車輌サイズになっています。

連結器は高さが可変式で浅草線の連結器高にも対応しています。

入り口近くに留置された編成、車輌移動機アントつき。

アントは特殊な構造で、小型ながら電車数両を動かせます。

都営浅草線と大江戸線が出揃いました。

手前から都営5200、北総7000、京急1000、京成3200と・・・

 右と中央の独特の丸目は、当時のインテグラに通ずるものが・・・

 今の電車って、正面にガラスの占める面積が広くなりましたね。

 都営交通局浅草線は日本で初めて郊外民鉄との相互直通を行った路線で、現在でも多彩な車輌が乗り入れてくるという特色があります。駅数は20ありますが、ダイヤ構成はかなり直通運転に偏った構成をとっており、泉岳寺〜西馬込間はちょっとした盲腸線になりかけています。

 今回は特徴ある展示車輌ばかりなので、車輌概要が長いです。

 都営E5000系電気機関車は世界でも珍しい地下鉄用電気機関車、その導入経緯はちょっと複雑です。そもそも大江戸線の検査修繕を光が丘で行う予定だったものの、建設費等の都合からレール幅の同じ浅草線まで接続線(汐留接続線)を建設の上、馬込で行うことになりました。しかし大江戸線の車輌がリニアモーター駆動のため(線路側にリアクションプレートが必要)浅草線の中を走行できない問題が出てしまい、これを解決するために2005年に作られました。車体サイズを小さい大江戸線に合わせながら、通常の電車と同じ駆動方式とするため、かなり腰高な独特のデザインになっています。二両一組での使用が前提になっていて、そのような設計になっています。

 大江戸線12−000系は1991年の大江戸線開業以来424両が投入されたモデル、製造ロットによって四つに細分されます。リニアモーター駆動を採用して下回りの機器を小型化したのが大きな特徴で、小さな車体を組み合わせて小さなトンネル断面として、建設費の低減を意図した設計になっています。車体はオールアルミ製。

 都営5200系は1976年に旧5000系の最終ロットとして製造された車輌で、6両2本が製造され8両1本が残っています。もともとが旧5000系の設計で走行性能が悪く使える列車も限られてきたこと、ダイヤ構成上の足手纏いになってしまい更に老朽も酷くなってきたので2006年11月に退役することになっています。

 北総7000系は1978年製で北総開発鉄道(現;北総鉄道)が、開業時6両3本を製造しました。かなり異様な全面デザインと空調の完備した設備で、ほとんどの窓を固定式にしたり、熱線吸収ガラスの採用で側面の日除けカーテンを省略したりとかなり前衛的なデザインの車輌でした。ただ、車体自体はスキンステンレスで作っていたため老朽化が進み、新型車の登場から順次退役しています。

 京急1000系は、デザインが古いながらもいまだに活躍が続く車輌です。この世代の車輌としてはかなり高速性能に優れた車輌で、一時期は京成等にリースされ、地方鉄道への車輌および部品の売却でも比較的人気のある車輌のひとつになっています。京急では新型車による置き換えが進められていますが、依然として80両近くが残存しており、もうすこし全廃まで猶予期間があるようです。

 京成3200系は1964年から製造されたかなり古いモデルで、こちらも現在廃車が進められている形式の一つです。かなりバリエーションの多い形式ですが性能的にはあまり特筆するところもないようです。VVVF試験車も調子が悪かったのか早くに廃車となったほか、北総へリースされていた車輌もあったようです。

2006.11 都営交通局馬込検車区